育休中にリスキリングをするなら、マーケティングは向いている分野の一つです。職種を変えなくても今の仕事で使えますし、子育て中に「お客さん」として感じたことが、そのまま学びの材料になるからです。
とはいえ、赤ちゃんのお世話で一日があっという間に終わるなかで、何をどこまで学べばいいのか、復職後に本当に使えるのかは、すぐには決められないですよね。
そこでこの記事では、育休中にマーケティングを学ぶ範囲の決め方、復職後の働き方から逆算した学び方、子育てと両立する時間のつくり方を順にお伝えします。僕は印刷会社の営業を12年続けたあとに独立し、いまは「WEBプランナー養成講座」でWEBマーケティングをメインに教えています。その現場で見てきたことをもとに書いていきます。
それでは、順に見ていきましょう。
学び直すなら、なぜマーケティングなのか
育休中の学びにマーケティングをおすすめする理由は3つです。今の仕事で使えること、子育て中の体験が材料になること、AIが広がっても人の判断が残ることです。
職種を変えなくても、今の仕事で使える
マーケティングは、「誰が、誰に、何を、なぜ、どうやって届けるか」を決める考え方です。広告やSNSの担当者だけの仕事ではありません。営業なら提案の組み立てに、事務なら社内向けの資料づくりに、企画なら新しいサービス案に使えます。相手がいる仕事なら、どこでも出番があるんですよね。
だから、転職や異動をまだ決めていない段階でも学び始められます。復職して同じ仕事に戻る人にとっても、学んだことがムダになりにくい分野です。
子育て中の「お客さんとしての体験」が、学びの材料になる
育休中は、これまでと違う立場で商品やサービスを選ぶ場面が増えます。ベビー用品を何時間もかけて比べたり、知らなかったサービスを口コミで見つけたり、使いにくいアプリにいら立ったり。こうした体験は、マーケティングで最初に学ぶ「お客さんがどう知って、どう比べて、どう決めるか」の流れそのものです。
つまり、学んだ考え方を、自分の買い物でその日のうちに確かめられます。職場にいるときには、なかなか作れない条件です。あなたが最近「これにしてよかった」と思った買い物は、どこで知って、何を決め手にしましたか?
AIが広がっても、誰に何を届けるかは、結局「人」が決める
「今から学んでも、AIに置き換わるのでは…」と不安に思う人もいるはずです。僕自身、2025年にはAI時代に学ぶことの価値に悩み、そこからAIの活用に本格的に取り組み始めました。
実際に使ってみると、文章や画像をつくる作業は、AIでずいぶん速くなります。ただ、AIがどれだけ整った文章を出してきても、それが良いかどうかを判断して、世に出すかを決めるのは人です。出てきたものを「これでいい」とジャッジできる自分がいるかどうか。そこで結果が分かれるんですよね。
僕の場合も、お客さんが何を求めているかから逆算して、AIに指示を出しています。マーケティングを学んでいるから、AIをうまく使えている。いまはそう感じています。
「育休中は無理💦」と感じるのは自然なこと
育休中のリスキリングを無理だと感じる人は少なくありません。学ばないと決めるのも、間違った選択ではありません。そのうえで学ぶなら、量ではなく範囲を絞ります。
「産休・育休中は無理」と答えた人が約6割
アクシス株式会社が2023年1月に、国内で働く20〜50代の300名に行った調査では、産休・育休中のリスキリングについて約6割が「無理」と回答しています(アクシス株式会社「リスキリングに関する意識調査」)。
育休は休みではなく、育児をする期間です。夜中の授乳や体の回復が続くなかで、勉強の時間がとれないのは当然のことです。
学ぶかどうかは、体調と家族の状況で決めていい
この記事は、育休中に必ず学ぶべきだと勧めるものではありません。体調が戻っていない、頼れる家族が近くにいない、という時期なら、学ばない判断も正しい選択です。
そのうえで「少しなら時間がとれそう」「復職の前に何か準備しておきたい」と思えたなら、最初から講座を全部こなそうとせず、学ぶ範囲を絞ります。範囲の決め方は、次の章でお伝えします。
学び始める前に確かめたいこと
- 体調が、机に向かえるくらいまで戻っているか
- 子どもを見てもらえる家族や、預け先があるか
- 週のうち、どの時間帯なら確実に空けられるか
マーケティングはどこまで学べば十分か
育休中に学ぶのは、考え方の土台と、それを小さく試すところまでで十分です。ツールの細かい操作は、復職してからでも間に合います。
「どう届けるか」の前に、「なぜ届けるのか」を考える
最初に身につけたいのは、届け方のテクニックではありません。誰が、誰に、何を、なぜ届けるのかを考えることです。WEBプランナー養成講座でも、最初はここから伝えています。
なかでも大事にしているのが「なぜ」の部分です。お客さんから見れば「どうしてあなたから聞く必要があるのか」。自分から見れば「どうしてこの仕事をしていて、なぜこれを届けたいのか」。この思いを言えないまま届け方だけを磨いても、相手には届きません。
僕も営業時代、ここを飛ばして失敗しています。お客さんはデジタル化を望んでいたのに、会社の都合で紙の提案に着地させていたことがありました。自分が良いと思うものではなく、相手が求めているものから考える。どう届けるかは、そのあとで決めれば間に合います。

ツールの操作は、使う場面が決まってからで間に合う
アクセス解析、SNSの広告画面、デザインツールなど、マーケティングには多くのツールが出てきます。ただ、使う場面がない時期に操作を覚えても、復職するころには忘れてしまいます。画面の仕様もよく変わります。
育休中は、ツールの名前と「何に使うものか」が分かれば十分です。操作は、仕事で使う場面が決まってから覚えるほうが早く身につきます。
学んだことは、小さく試して形に残す
学んだら、身近な題材で試してみます。たとえば次のようなものです。
- 自分が買ったベビー用品の販売ページを見て、「誰に向けたページか」「決め手になった言葉はどれか」をメモする
- 勤務先の商品の紹介文を、「なぜこれを届けるのか」から書き直してみる
- 家族や知人の小さなお店のSNS投稿を、一度だけ手伝ってみる
最初から完成度の高いものを目指すと、手が止まってしまいます。1枚のメモでも構いません。形に残しておくと、復職のときに「育休中に何をしていたか」を具体的に説明できます。
育休中に学ぶ範囲の目安
- 考え方:誰が、誰に、何を、なぜ届けるのかを考えられるようにする
- ツール:名前と用途が分かればよい。操作は復職後でも間に合う
- 実践:身近な題材で試し、メモ1枚でも形に残す
復職後の働き方から、マーケティングを学ぶ深さを決める
復職したあとに、どの働き方を選べるようにしておきたいか。それによって、学ぶ深さが変わります。ここでは3つに分けて考えます。
| 選びたい働き方 | 学ぶことの中心 | 育休中のゴール |
|---|---|---|
| 同じ職場・同じ仕事で活かす | お客さんの理解、提案や資料の組み立て | 自分の仕事の前後を説明できる |
| 社内で企画やマーケティング寄りの仕事に広げる | 市場や競合の調べ方、施策の考え方 | 自社の商品で改善案を1つ書ける |
| 副業・業務委託・独立も視野に入れる | 集客から販売までの流れ、提案と価格の考え方 | 小さな手伝いや案件で試せる |
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同じ職場に戻るなら、今の仕事の前後を見る
同じ仕事に戻るなら、自分の仕事の前と後に、お客さんがどう動いているかを見られるようになることを目指します。お客さんはどこで自社を知り、何と比べ、決めたあとにどう使い続けているのか。ここが見えると、提案や資料の中身がずれにくくなります。
僕も営業時代、自分の商談だけでなく、その前後にお客さんがどんな動きをしているかを考えられるようになったことが、いちばん役に立ちました。育休中に学ぶなら、復職したら自分の仕事の前後を一度書き出してみる、というところまで準備しておくと、戻ってすぐに使えます。

社内で仕事の幅を広げたいなら、試した形を見せる
企画やマーケティング寄りの仕事に広げたいなら、社内の人事面談で、学んだことと試したメモを見せながら希望を伝えます。「勉強しました」とだけ伝えるより、自社の商品で考えた改善案が1つあるほうが、話が具体的になります。
もちろん、希望が通るかどうかは会社の事情にもよります。それでも、伝えなければ会社の側は知りようがありません。
副業や独立も考えるなら、成果を出している人から学ぶ
副業や業務委託、独立まで視野に入れるなら、まず、学ぶ相手を選ぶことから始めることをお勧めします。
僕は会社員のころから独立するまでに、複数のメンターやコミュニティ、塾を渡り歩きました。物販やFX、アフィリエイトなどの副業でも失敗を重ねています。いま振り返ると、ノウハウだけを集めていて、それを現場でどう使っているのかまでは学べていなかったんですよね。
ノウハウはもちろん大事です。ただ、それ以上に、誰から学ぶかを大事にしてほしいんです。学生時代を思い出してみてください。相性の合わない先生の教科を、好きになれたでしょうか。「この先生いいな」と思えた教科は、きっと好きになっていたはずです。学ぶ相手を選ぶことから始めると、遠回りはかなり減らせます。
WEBプランナー養成講座では、現場で使っている考え方をそのまま教えています。受講生からは、市場価格の2〜3倍の単価でも選ばれる人や、1件100万円を超える案件を受注する人が多く出ています。もちろん、誰でも同じ結果になるとは言えません。それでも、実際にその仕事で成果を出している人から学ぶほうが、学んだことを仕事に置き換えやすくなります。
育休中の学習時間は、家族と先に決めておく
育休中に学びを続けるには、空いた時間を待つのではなく、学ぶ時間を家族と先に決めておきます。
「空いたら学ぶ」では続かない
赤ちゃんの予定は、前の日になっても読めません。「時間が空いたら学ぼう」と考えていると、気づけば一週間が過ぎていた、ということになりがちです。
育休中に講座を受けた方の話を聞くと、続けられた人は、学ぶ時間を家族に頼んで先に押さえていました。週のうち「この時間だけは学ぶ」と家族と約束しておくと、続けやすくなります。最初は週に1回、短い時間でも構いません。
録画で見返せる学び方を選ぶ
講座を選ぶなら、オンラインで受けられて、録画を見返せる形式のものが向いています。子どもの体調で参加できない日があっても、あとから追いつけるからです。
ただ、録画があると「あとで見ればいい」と後回しにしがちです。録画で見る日も、家族と決めた学習の時間に入れておきます。
給付金を使うなら、申し込む前に手続きを確かめる
雇用保険に入ったまま育休をとっている人は、厚生労働省の教育訓練給付金の対象になることがあります。給付を受けるには、雇用保険の加入期間が原則3年以上(初めて使う場合は、専門実践教育訓練で2年以上、それ以外は1年以上)必要です(ハローワークインターネットサービス「教育訓練給付制度」)。
講座によって給付の種類と割合が違い、受講の前に済ませる手続きがあるものもあります(厚生労働省「教育訓練給付制度」)。講座に申し込む前に、住んでいる地域を管轄するハローワークで確かめておきます。
よくある質問
育休中でも教育訓練給付金は使えますか?
雇用保険に入ったまま育休をとっているなら、対象になる場合があります。加入期間などの条件は人によって違うため、講座に申し込む前に、管轄のハローワークで確かめてください。
マーケティングの仕事をしたことがなくても学べますか?
はい、学べます。マーケティングの土台は「誰が、誰に、何を、なぜ、どうやって届けるか」を考えることなので、営業や事務、接客など、相手がいる仕事の経験があれば、それを材料に学べます。
1日にどのくらい勉強すればいいですか?
決まった時間はありません。育休中は日によって使える時間が大きく変わるため、1日単位ではなく「週のうち、この時間は学ぶ」と家族と決めておくほうが続きます。
独学と講座、どちらで学ぶのがいいですか?
考え方の入口を知るだけなら、本や無料の情報でも始められます。学んだことを仕事や副業につなげたいなら、実際に成果を出している人から、質問できる形で学べる講座のほうが遠回りを減らせます。
育休中に学んだことは、復職後に評価されますか?
学んだだけで評価が変わるとは限りません。評価につながりやすいのは、学んだことを使って考えた改善案や、試した結果を具体的に見せられる場合です。
まとめ
育休中にリスキリングをするなら、マーケティングは、職種を変えなくても使えて、子育て中の体験を材料にできる分野です。無理をせず、範囲を絞って学び始めれば十分です。
育休中にマーケティングを学ぶときの要点
- マーケティングは「誰が、誰に、何を、なぜ、どうやって届けるか」を決める考え方で、相手がいる仕事ならどこでも使える
- AIが広がっても、出てきたものを良いと判断できる力は人に残る
- 育休中は「なぜ届けるのか」を考える土台と、小さな実践までで十分
- 復職後に選びたい働き方から、学ぶ深さを逆算し、学ぶ相手を選ぶ
- 学ぶ時間は、家族と先に決めておく
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